駅や車などの屋外広告や、新聞・雑誌・フリーペーパーなどの紙面広告に、QR コードが入っていることはもはや珍しく無くなってきました。
この記事では、屋外広告・紙面広告などのいわゆるオフライン(=アナログ)広告内に、QRコードを含めることのメリットを解説しています。
また、具体的な QR コード入りオフライン広告の活用ケースと、効果的な QR コードの挿入方法についても紹介した上で、今なお避けては通れない QR コードのリスク・課題点についても解説していきます。
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広告内にQRコードを含めることのメリット
広告内にQRコードを含めることのメリットは、おもに3点挙げられます。これらのポイントについて、詳しく解説していきます。
1. 即時アクセス性の向上
QRコードを広告に入れることの利点のひとつとしてまず挙げられるのが、「即時アクセス性の向上」です。
印刷媒体の広告にQRコードを設置することで、ユーザーはスマートフォンやタブレットでQRコードを読み取るだけで、広告主のウェブサイトやアプリにアクセスできます。
ユーザーはその場で、熱が冷めないうちに、より詳細な情報をすぐにスマートフォンで確認できます。
これまでのように手入力によるURLの入力や、指定キーワードでわざわざ検索する、といったことをする必要がなくなり、ユーザーの利便性が格段に高まります。
2. インタラクティブ性の向上
QRコードを広告に入れることの利点のふたつめは「インタラクティブ性の向上」です。
QRコードを介することで、広告主は、紙面や看板のような旧来の媒体では叶わなかった、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを図れます。
そのため、オンラインでの問い合わせや商品購入といったユーザー行動に、スムーズに誘導できるようになります。
具体的には、アクセス先でのクーポン配布やアプリ導入・アンケート収集など、一方的な広告よりも一歩踏み込んだ関係性づくりが可能になります。
3. アナリティクスデータの取得
QRコード広告の3つめの利点が「アナリティクスデータの取得」です。
QRコードの読み取り数を把握することで、これまでの紙面広告や屋外広告では難しかった、広告の費用対効果が算出できるようになります。
→ QRコードでアクセス解析。印刷物の効果測定をする方法を徹底解説(GA4編)
さらには、「バリアブル印刷」と呼ばれるような部分的に印刷内容を変更する技術を用い、広告の内容や配置場所ごとに QR コードを分け、経路ごとの反応率を取得することによって、広告内容や設置場所改善にも役立てられます。
→ バリアブル印刷とは?事例・仕組み・費用・注意点を徹底解説
QRコード広告の活用ケース
QRコードを含めた広告は、さまざまな媒体で活用できます。
具体的には、新聞・雑誌の紙面広告、チラシ、ポスター、パンフレット、屋外看板など、幅広いメディアでQRコードを活用することができます。
ここでは、QRコードが活用できる広告のパターンをいくつか紹介します。
新聞・雑誌の紙面広告
新聞や雑誌の紙面広告にQRコードを掲載することで、読者が興味を持った商品やサービスについて、詳細情報を簡単に入手できます。
限られた誌面上の小さなスペースだけでは伝えきれない情報を、動画や音声、アニメーションなどを駆使して、存分に伝えることが可能になります。
また、QRコードによって、URLを打ち込んだり検索することなく、広告から直接オンラインショップ等へ誘導できるため、購入意欲をその場で逃さず、購入まで進めてもらえる可能性も高くなります。
駅や街中の屋外看板
駅や街中の屋外看板は、多くの人々が通行する場所に設置されると、高い広告効果が期待できます。特に街中の交差点やビルの壁面などに設置される大型の看板は、非常に目を惹き人々の印象に残ります。
しかし、通常の看板は一般的に高額になりがちな広告費用に対して、はっきりとした費用対効果が分からないままになりがちです。
QRコードを広告に取り入れると、「反応率」という指標が新たに取得できるようになるため、費用対効果が分かりやすくなります。
最近では、駅の構内でも、デジタルサイネージを活用した広告が採用されることが多く、時期や天候等に応じて細かく内容を差し替えるなど、旧来のアナログ看板ではできなかった広告出稿も可能になってきており、QR コードとの相性も高いでしょう。
ラッピングカーや車体広告
ラッピングカーや車体広告は、移動する広告媒体として大変効果的です。広告が街中を移動することで、多くの人々に露出し、目に触れさせることが可能になります。
具体例として、タクシーやバスに掲載される車体広告は、街中を走行することで遠くからでも視認でき、ターゲット層に長時間訴求することが可能です。
ただし、車体が動いている間は QR コードの読み取りができないことや、ユーザーとの距離・間隔が一定でないことから、QR コードの読み取り率はそこまで高くはなりません。あくまで、非常に関心度の高いユーザーのための、補足的な情報提供手段として位置付けると良いでしょう。
電車・バス内の車内広告、中吊り広告
電車やバス内に設置される広告は、ターゲット層が長時間広告を見ることができるため、高い視認性があります。乗客が移動中に座席で待ち時間を過ごす際、広告に目が向くことが多く、暇つぶしとして QR コードの読み込みも期待できます。
具体例として、電車の中吊り広告やドア上広告、特急列車の座席ポケットやバス内の座席に設置されているフリーペーパーやリーフレットなど、幅広い広告面が考えられます。
バス停などの電子広告も、乗客が待っている間に目にする機会が多く、効果的です。
そもそもの高い視認性に加えて、広告のデザインやキャッチコピーに工夫を凝らすことで、より高い読み取り率を狙うことができます。
名刺・パンフレット
名刺やパンフレットは、企業や個人の情報を、年代場所やなどを問わず効果的に伝える広告ツールです。手に取ってもらいやすいサイズやデザインであることから、顧客の興味を引きやすい点が挙げられます。
一般的な名刺サイズでは、スペースが限られており、その会社の行っているサービスの内容や、社員ごとの仕事実績といった踏み込んだ内容まで記載することができません。QR コードを使ってサービス紹介ページなどに誘導し、会社としての信頼感に繋げましょう!
よりスペースに余裕があるパンフレットの場合でも、「動画の視聴」や「SNSのフォロー」、「オンラインでの購入」など、デジタル媒体でのゴールに繋げたいという場合、QR コードを設置することが効果的です。
QR コード入りの名刺やパンフレットは、より多くの情報を分かりやすく伝え、長期的な関係を築きたい企業やサービスにおすすめの広告手段です。
名刺やパンフレットの印刷物は配布したら、どんどん情報が古くなってしまいますが、QRコードからアクセスすることで、アクセス先では最新情報を発信することが可能になります。
類似する販促物として、チラシへのQRコード挿入のノウハウについては、以下の記事にもまとめておりますので、よろしければお読みください!
→ 初心者必見!QRコードをチラシに使うときのコツと注意事項
成功するQRコード広告の作り方
QRコード広告は、ユーザーに簡単にアクセスさせる効果的な手段です。
アナログ媒体に QR コードを配置するにあたっては、実は印刷前に気をつけなければいけないポイントがいくつもあります。詳細は、こちらの記事もあわせてお読みください。
→ サイズ・余白は大丈夫?印刷会社が教える、失敗しないQRコード印刷のポイント
ここでは、上記から3つほどのポイントに絞って、うまくいきやすい QR コード広告の作り方を説明します!
QRコードの配置と大きさ
QRコードは、広告全体の中でも目立つ場所に配置し、大きすぎず小さすぎないサイズで表示することが重要です。
広告全体に対してQRコードが大きすぎるまたは小さすぎると、スキャンしにくくなります。
適正なサイズは QR コードに含まれる情報量によって変動しますが、紙面の印刷物の場合、1.5cm〜2cm の範囲に収めることが一般的です。
一方、屋外広告や車体広告の場合、少し離れた距離からでも読み取りやすいよう、上記より大きめにすることもポイントです。
コンテンツとの連携と一貫性
QRコードでアクセスできるオンラインコンテンツは、広告メッセージでの主張内容とよく整合させることが大切です。
せっかく広告の内容「◯◯サービス、1ヶ月無料トライアル開催中!」に興味を持って QR コードを読み取ったのに、会社のトップページに飛ばされてしまい、◯◯サービスや無料トライアルの情報がすぐにわからないと、ユーザーの興味も一瞬で醒めてしまいますよね。
広告で生み出したユーザーの興味・関心を維持しつづけ、その後の行動喚起にうまくつながるコンテンツにすることで、本当に効果的な広告展開が可能になるといえます。
またそのためには、広告での訴求内容も単なる商品・サービスの紹介ではなく、この広告経由でしか手に入らない特典やキャンペーンなど、ユーザーに魅力を感じさせて QR コードの読み込みたくなるような要素を取り入れると良いでしょう。
視認性の高いデザイン
広告におけるQRコードは、なるべく視認性が高く、スキャンしやすい単色や高コントラストのデザインにすることが求められます。
また、背景色や周りの文字、イメージとの調和も考慮することで、デザイン性と機能性を両立できます。
デザインだけでなく、コード周囲には十分な余白を確保するなど、スキャンしやすさも考慮しましょう。
行動喚起コピー(CTA)の設定
紙面・屋外広告などにQRコードを挿入する際の tips として、「行動喚起コピー(CTA)の設定」が重要になります。
つまり、QRコードをスキャンした先の行動を明確にすることが、読み取り率を少しでも上げることにつながります。
例えば、「今すぐ購入」や「詳細を見る」のように、ユーザーに分かりやすいCTAを示して、ユーザーが求めるアクションに誘導しましょう。
こうしたCTAの設定が的確であれば、QRコードを利用したマーケティング効果が大きく向上します。
定期的な効果測定と改善
QRコード広告は、出したら終わり、ではなく、定期的な効果測定にもとづいて改善していくプロセスが大切です。
具体的には、QRコードの読み取り数やアクセス数などのデータを定期的に確認し、広告ごとの反応率を把握していくことです。これらのデータから、広告のインパクトや魅力度、設置地域や場所の有効性などを分析していきます。
以前、当社で携わった紙面広告で、毎月同じ箇所に大量に出稿していた、アプリのダウンロードを促す QR コードの読み取り率をしばらく経ってから計測してみたところ、なんと衝撃の「0%」ということがありました。
解析ツールの設定を見直しましたが、やはり0%という数値は正しく、関係者一同で目を見合わせたものです。
認知・知名度を高めるという目的の広告であればそれでも良いのですが、このキャンペーンではアプリのダウンロード数向上という明確なKPIがあったため、より QR コードの読み取りを高めるようなデザイン・キャッチコピー・訴求を含めて、広告内容を毎月組み直していきました。
効果測定なしでは、広告の改善点を特定することができず、無駄な投資をし続けることになってしまいます。
せっかく出稿した広告ですので、できれば数ヶ月単位で見直していくことをお勧めいたします。
QRコード広告の課題とチャレンジ
かなり一般的になってきたといえる QR コード広告ですが、実は今もなお課題が残ります。
これらの課題もしっかりとふまえた上で QR コード広告が展開できると、より優れたマーケティングキャンペーンになるといえます。
ここでは3点ほどご紹介します。
QRコードの読み取り率の低さ
QRコードを紙面・屋外広告などに挿入することの課題・チャレンジについて「QRコードの読み取り率の低さ」の点について解説します。
広告でQRコードを表示しても、実際に読み取るユーザーは意外と少ないのが現状です。これだけスマートフォンの普及が進み、カメラにはデフォルトで QR コード読み取り機能が搭載されていても、やはりユーザーが読み取るだけの必要性を感じなければ、どこまでも読み取られることはないものです。
海外の調査結果になりますが、販促などの紙面での読み取り率は、4% 前後(!)が標準的な数値だと言われています。
つまり、1,000枚のチラシを蒔いても QRコードアクセスが 40 回ということですから、意外と低いと驚かれる方が多いのではないでしょうか?
出展:A Complete Guide to QRCode (Central Mailing Services)
それゆえに、QR コードを読み取ってもらえるように、きちんと広告の訴求内容全体を設計していくことが重要です。
そこでは、ユーザーの関心を引き付けるコンテンツや、効果的な行動喚起コピー(CTA)が不可欠です。
セキュリティリスクとユーザーのプライバシー意識
スーパーマーケットや自動車用品店のDMに印刷されているQRコードをスマホに読み取ると、不正に個人・カード情報を入手する目的のフィッシングサイト等に誘導されてしまう事案があったことを、覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか?
QRコードを活用した広告には、セキュリティリスクとユーザーのプライバシーに関する課題が存在します。
プライバシー保護の観点から、QRコードの使用に消極的なユーザーも一定数存在していると言えるでしょう。とくに、デジタルリテラシーの高いユーザーをターゲットとした広告施策では、このようにあえてQR コードを読み取らないという選択をする方の比率も増えがちだと想像します。
この課題を回避するためには、まずは広告面の段階で会社情報や実績情報などをきちんと開示し、「あやしいサービスではない」とユーザーの信頼を得ておくことが大前提となります。
QRコードを読み込むとどのようなサービスへ遷移するのかも簡潔に記載しておく事で安心感を与えられると考えます。
また、QRコード作成時に短縮サイトを利用するなど、コントロールが出来ない外部サイトは極力介さないで、広告主がコントロールできる状態にしておくことも大切です。
スマートフォン環境の差異
QRコードを利用する上での課題として、スマートフォン環境の差異が挙げられます。
QRコードの読み取りにはスマートフォンのカメラ機能が必要であり、端末の性能や使用OSのバージョンによっては、読み取り精度や利便性に差が出ることがあります。
端末のカメラに初めからQRコードリーダーがついているものが多くなってきたものの、いまだに一部の端末ではQRコード対応のアプリが必要となり、広告主側が期待したような操作性が得られないケースもあります。
広告の掲示場所や対象ターゲットをしっかりとふまえたうえで、いくつかの端末やOSバージョンでしっかりと読み取りテストをして、広告出稿に臨みましょう。
効果の完全な定量化の難しさ
最後に、QRコード広告の効果を完全に定量化するのは難しいことがあります。
QRコードの読み取り数など、中間指標といえるデータは収集できますが、紙面・屋外広告などが実際どれくらいのユーザーの目に触れたか?までは把握ができず、広告全体の効果を定量的に測るのはやはり困難です。
また、オフラインからオンラインへの誘導はカウントできても、その後のオンライン行動や最終的なゴールまでの導いたかどうかについては、高度な分析技術が必要となります。
取得できる指標と、そうではない指標をしっかりと見定めた上で、どのような数値をKPIとして改善していくか、経営的な判断が求められます。
QRコード広告活用のまとめ!
便利な QR コード入り広告ですが、本当に役立てるためには意外と多くの点を考慮する必要があることがお分かりいただけたかと思います。
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