紙のチラシから、申し込み用のWEBページや SNS に誘導するためにQRコードを挿入することも、最近では一般的になってきました。一方で、その効果と実際の活用方法が気になる方も多いでしょう。
そこで、今回はチラシにQRコードを載せるメリットや、効果的な配置方法、注意点などを詳しく紹介します。
さらに、自社サイトやSNSページへの誘導方法や、QRコードの無料作成ツールの使い方、効果測定方法などもお伝えしますので、効果的なチラシの制作の参考にしてください。
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QRコードとは?
QRコードは、デンソーウェーブ(株)が開発し、商標登録をしているバーコードの一種です。
特定の WEB サイト URL や文字列など、大きな情報を小さなコードに変換でき、スマートフォンやタブレットなどの身近な機器で簡単に読み取ることができるのが特徴です。
かつては読み取り専用のアプリが必要でしたが、最近ではほとんどのスマホのカメラに標準で読み取り機能が搭載されており、誰でも簡単に使えるようになりました。
チラシにQRコードを載せるメリットと効果
QRコードをチラシに載せると、次のようなメリットがあります。
- ユーザーを簡単に次のステップ・行動へと誘導することができる
- 紙面という限られた領域には載せ切れない情報まで WEB サイトや SNS を使って伝えることができる
- オンラインとオフラインの連携が強化され、集客やコミュニケーションが促進される
- 効果測定が容易になり、成果が出ていないときの問題箇所の特定や、改善策を講じやすくなる
具体的な活用事例としては、イベント申し込みページや商品情報ページへの誘導、紙面では表現できない内容が見られる YouTube 動画への誘導、インスタグラムアカウントへのフォローやアプリのダウンロードを推奨するなどがあります。
QRコードからの誘導率
チラシにQRコードを掲載した場合、どの程度読み取り・アクセスがされているのでしょうか?
一般社団法人日本ダイレクトメール協会の調査によると、QR コードのような WEB にアクセスさせるタイプの DM で実際に読み取りを行ったことがあると回答したのは、全体の 34.5% でした。
出典:DMメディア実態調査 2022(一般社団法人日本ダイレクトメール協会)
上記はあくまで「過去に読み取ったことがあるか」という質問への回答になるので、個々のチラシなどでの読み取り率は、これよりも低くなります。
海外の調査によると、販促などの紙面での読み取り率は、4% 前後が標準的な数値だと言われています。つまり、1,000枚のチラシを蒔いても QRコードアクセスが 40 回ということですから、意外と低い!と驚かれるかもしれませんね。
それゆえに、QR コードを読み取ってもらえるようにきちんとチラシを設計していくことが重要です。
出店:A Complete Guide to QRCode (Central Mailing Services)
集客効果を上げる QR コード配置とデザインのポイント
チラシでQRコードを活用して集客効果を上げるためには、いくつかのポイントがあります。
QRコードを目立つ位置に配置し、簡単に見つけてもらえるようにする
QRコードを紙面の空いたスペースに差し込むだけでは、チラシ全体のデザインに埋もれ目立たなくなってしまいます。
あなたが作るチラシにおいてQRコードが重要な役割を果たす場合、その存在を中心にデザインを考えることが重要です。
QRコードを通じて提供される情報の内容を明確に伝える
読み取った後に何があるのかわからない QR コード、なかなか読み取ろうとは思えませんよね。
この先にどういった情報があるのか、どんな価値があるのか、チラシの中でしっかり伝えることが重要です。
「申し込みはコチラから」「最新情報は Instagram をフォロー」など、QRコードの周囲にコメントを添えることをお忘れなく。
QRコードを読み取るインセンティブを提供する(割引クーポン、特典サービスなど)
QRコードチラシあるあるとして非常に多いのが、「たくさんチラシを撒いたのに、あとから解析するとほとんど QR が読み取られていなかった」という失敗です。
いくら簡単に読み取れる QR コードといっても、人間、対価がない限りなかなか動かないものです。
「このチラシを見てくれた方限定で、特典サービス!」など、可能な限りのインセンティブを QR コード読み取りの対価として提供してみてください。
QRコードをチラシに使う際の注意点
QRコードをチラシに使う際にありがちなミスはいくつかあります。これらのミスに注意しながら、チラシのデザインをしてください。
QRコードのサイズが小さすぎる・大きすぎる
QRコードのサイズは、目安として 1.5cm〜2cm 程度のサイズに設定してください。
あまり小さすぎたり大きすぎたりすると、スマホカメラのピントがあわない、印刷時にコードがつぶれてしまうなど、読み取りづらいコードになってしまうおそれがあります。
QRコードに必要となる厳密なサイズは、情報量に対して、適切なセルサイズと誤り訂正レベル(※)によって決まります。
※誤り訂正とは、QRコード内に含まれるデータが読み取り時に誤ったり損傷したりした場合に、そのデータを正確に復元するための仕組みです。QRコード生成時、4段階の誤り訂正レベルを指定することができます。
チラシのデザイン上、QRコードの領域があまり大きく取れない… という場合、以下の表を参考に、作成予定のQRコードサイズはどこまでの小ささが許容されるかを確認してみてください。
余白が足りない
QRコードの周りには、十分な余白(マージン)を確保して、周囲の装飾やテキストなどが誤って読み込まれることを防ぎましょう。
具体的には、周囲に少なくとも 2mm〜3mm程度のマージンがあるのが理想です。
余白をはじめとして、QR コードの印刷における全般的な注意事項は、以下の記事も併せてご参照いただければ確実です!
→ サイズ・余白は大丈夫?印刷会社が教える、失敗しないQRコード印刷の必見ポイント
色のコントラストが低い
原則として QR コードは、モノクロ1色で作成することが求められます。
そうはいっても、チラシ全体のデザインとあわせて、 QR コードにも色をつけるケースがあると思います。
その場合、背景と QR コード自体のコントラストが低いと読み取りが難しいため、明るい背景に暗いQRコードを配置すること(あるいはその逆)が望ましいです。
複数のQRコードを同じチラシに掲載
ひとつのチラシ内に、2つ以上の QR コードが配置されているものを見かけますが、これもよくありません。
ユーザーにとってはどのQRコードを読み込むべきかわかりづらくなりますし、QRコード同士の距離が近すぎると、正しく読み込まれないこともあります。
複数の URL をひとつの QR コードにまとめるサービスもあるため、こういったツールも活用し、なるべく複数 QR コードの配置は避けるのが吉です。
変更の可能性がある URL を直接 QRコード化してしまう
イベントの申し込みページなどの URL は、配布前に変更となる可能性もあります。
もし変更前の URL を直接 QR コード化してチラシの印刷してしまっていると、全部数の再印刷が必要となってしまいます。
このような状況を避けるため、変更の可能性があるリンク先を QRコードにする場合は、bitly や short.io のような、URL短縮サービスを使って生成した別の URL を QRコードにしておくのがおすすめです。
もし印刷後に遷移先のページが変わってしまったとしても、短縮サービス側での設定を変更すれば対応できるため、印刷手戻りのリスクを最小化できます。
QR コード以外のアクセス・連絡方法への記載がない
意外と忘れがちなことですが、QR コードのバックアップ手段も忘れずにチラシに掲載しておきましょう。
簡単に読み取ることができて便利なQRコードですが、QRコードリーダーがついていない一部の古いモバイル端末を使っている人や、チラシの状態などによっては、正しく読み取ることができないケースも想像できます。
QRコードで誘導したい先が単なる補足的な情報であればそれでも構いませんが、「申し込み」などのアクションに誘導する重要な経路の場合は、バックアップとして他のアクセス手段も用意しておくと、最終的な反応率に変化が出てくるでしょう。
例えば以下のような内容も、補足的に記載しておいてください。
- メールアドレス
- 電話番号
- 検索キーワード(「◯◯で検索」のように、検索エンジンで確実に自社のページに誘導できるキーワード)
QRコードの無料作成ツール紹介
チラシで使うQRコードを作成する際に便利な、無料のツールをいくつか紹介します。
クルクルマネージャー
QRコードの開発元であり、商標登録をしている「株式会社デンソーウェーブ」が提供しているツールであるため、生成されるコードの信頼性は抜群。
セルサイズやマージン、画像サイズやフォーマットなど、細かにパラメータを指定してコードを生成することができます。
また、簡単に QR コード読み取りの履歴が調べられる「アクセス解析」機能(詳細は後述)も無料で使えます。
QRのススメ
色やドットの形状、QRコード内のアイコン挿入など、クルクルマネージャーにはないデザイン的な機能が豊富です。
ただし、読み取りの正確性を保証するためには、QRコードへの装飾は慎重に行うべきです。装飾したQRコードは、QRコードの規格から外れてしまい、読み取りが保証されないためです。
前述した、複数のリンク先をひとつの QR コードにまとめるサービスもこちらで提供されているため、誘導先が2つ以上あるチラシの場合、利用を検討してみると良いでしょう。
CMAN QRコード作成
セルサイズや誤り訂正レベルを指定できることに加えて、QRコードの周りを文字で囲む装飾が可能です。
QRコードの先にある情報の説明や、URL を文字でも表現したい場合に便利な機能ですが、十分な余白が取れるかは注意が必要です。
QRコード入りチラシのデザインテンプレートをご紹介
ゼロからチラシのデザインを考えていくのは、大変ですよね。チラシの目的をわかってくれるプロのデザイナーにお願いするのが一番ですが、そのような費用が捻出できないケースもあります。
デザイナー用の特別なツールがなくても使える、便利な無料のテンプレート集を3つご紹介します。
いずれのサービスでも、検索ボックスに「QR」などと打ち込んで探すと、最初から QR コード用のレイアウトを配置したテンプレートを簡単に見つけることができますよ!
Canva
SNS などの投稿用画像テンプレートのイメージが強い Canva ですが、実は A4 など印刷フォーマットにも適した、おしゃれで可愛いデザインが揃っています。
特に女性向けのイベント告知などにはピッタリなデザインが見つかるはず。
https://www.canva.com/ja_jp/flyers/templates/
Adobe Express
Illustrator や Photoshop のイメージが強い Adobe ですが、ブラウザ上で完結できるデザインサービスも提供しています。
テンプレートで作ったとは思えない、プロ仕様のデザインを編集して利用可能です。
https://www.adobe.com/jp/express/templates/flyer
Microsoft Office テンプレート
誰でも使いやすい、PowerPoint や Word などの Office ソフトを使って編集できるチラシテンプレートを、Microsoft も提供しています。
デザイン性の高さよりも、親しみやすさを強調した学校や地域イベントにぴったりのテンプレートが揃います。
特別なツールではない Office ソフトで編集できるということで、複数の関係者が編集する場合にもぴったりです!
https://www.microsoft.com/ja-jp/office/pipc/poster
かならず印刷前に、QRコードの事前テストを実施すること
QRコードチラシを作成したら、まずは1枚だけテスト印刷をして、複数のデバイスで問題なく読み取りができるかチェックしましょう。
QR コードの読み取り性能には、チラシの印刷用紙の種類も影響します。以下の点を考慮されると良いでしょう。
- 光が入り込んで読み取りの邪魔をすることを防ぐため、光沢の強い用紙を避ける
- 裏面などの写り込みを防ぐため、薄すぎる紙は避け、ある程度の厚み(0.1mm以上)がある用紙を選ぶ
予算との兼ね合いにはなりますが、できれば 90kg のマットコート紙が準備できると良いですね。
QRコードチラシの効果測定の方法
せっかく作った QR コードチラシ、何回ほど読み取られたか、どのような状況で読み取られたか等をきちんとデータで把握し、次の施策に繋げていきたいですよね。
QRコードチラシの効果測定には、主に「Googleアナリティクス」と「クルクルマネージャー」の2種類のツールが活用できます。
Google Analytics などのウェブ解析ツールを利用する
Google が提供する WEB アクセス解析ツール Google Analytics では、「キャンペーンコード」と呼ばれる計測用のパラメータを URL に付与することで、それぞれのコードがどの程度、どのようなユーザーから読み込まれたかをふかぼって解析することができます。
QRコードを経由してアクセスしたユーザーが、サービスに申し込んだ場合のコンバージョン率や、リピート率なども分析できるので、チラシの成果を詳細に分析するには必須のツールです。
くわしくは以下の記事で解説しているので、集客チラシを継続的に作っていかれる際は、ぜひ参考にしてみてください。
→ 徹底解説!QRコードで印刷物の効果測定をする方法 – GA4編 –
ただし Google アナリティクスを使うには、サイトへのインストール作業が必要です。遷移先サイトに現時点で Google アナリティクスが入っていなかったり、対象サイトのアナリティクスの参照権限がもらえないといった場合、この方法を使うのはあまり現実的ではないでしょう。
クルクルマネージャーのアクセス解析機能を利用する
前述の QR コード無料作成ツール「クルクルマネージャー」にも、簡易的なアクセス解析機能がついています。
こちらは Google アナリティクスのように、サイト側へのツールのインストールは必要なく、簡単に使うことができます。
以下の記事でくわしく使い方を解説しているので、まずは簡単に読み取り回数だけ確認したい!という場合はこちらをご利用ください。
→ GA不要!QRコードで簡単に印刷物の効果測定をする方法 – クルクルマネージャー編 –
さらに細かなデータの取得のために、バリアブル印刷の活用
ここまでは、単一の QR コードがどのように読み込まれたかを調査する方法をお伝えしました。
場合によっては、チラシの配布場所ごと・配布した個人ごとに分類した実績など、より細かい粒度で効果測定をしたいケースもあるかと思います。例えば、A店舗で配布したチラシよりも、B店舗で配布したチラシ経由の方が登録率が高い、というような気づきが得られるかもしれません。
分析する区分ごとに別々の URL・別々の QRコードを発行することで、このような例も実現できます。
チラシ1枚1枚に別々のQRコードを印刷する技術は「バリアブル印刷」とよばれ、当社がもっとも得意とする領域です。
→ バリアブル印刷とは?事例・仕組み・費用・注意点を徹底解説
対応できる印刷会社さんは限られるため、デジタル連携を想定したチラシを企画される際は、早い段階で発注先をリサーチされると良いでしょう。
デザイン・装飾がなされたQRコードについての注意点
前述の QRコード無料作成ツール紹介でもお伝えしたように、QRそのものに色や模様・画像を加えたり、デザイン面でのアレンジも気軽にできるようになっています。
一方、これらの装飾が施された場合、QRコードの規格から外れてしまい、厳密にはQRコードではなくなります。そうなってしまうと、読み取りの保証もできないということをご理解ください。
QRコードは、厳密には「QRコードではない」と理解した上で、次の点に注意する必要があります。
- QRコードの認識性能を低下させないよう、装飾やデザインが過剰にならないよう配慮する
- 誤り訂正機能を最大限利用し、読み取りエラーを防ぐ
なお当社では、金銭の授受や情報登録など、業務の根幹にかかわるような重要な用途の QR コードへの装飾をご希望される場合、印刷をお断りをしております。
まとめ:QRコードチラシの活用術
気軽に使えて効果の高いQRコードチラシですが、十分に活用するためには、QRコード自体の生成やチラシ上での配置・デザインなどに注意を払い、適切に組み込む必要があります。
ぜひ今回ご紹介したポイントをふまえて、成果の上がるQRコードチラシの制作に取り組んでみてください。
もし、大量の QRコードのバリアブル印刷を相談できる業者をお探しであれば、実績豊富な当社にお任せください。