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デジタル時代の効率的な落とし物管理を支えるバリアブル印刷技術

2024年11月9日

  • 会社名

    株式会社 find

  • サービス名

    落とし物クラウド find

  • 可変印刷数量

    5,000,000枚
  • 可変データ

    QRコード
  • 印刷物のタイプ

    タグ・荷札

お話をうかがった方

株式会社 find
取締役 COO 和田 龍様

  • 導入後の効果①:

    顧客への発送まで代行してもらうことで、社内工数の大幅削減

  • 導入後の効果②:

    スタートアップに必須の、フレキシブルでスピード感がある納品を実現

1日1万2000件。

これは2023年に警視庁に届けられた落とし物の数です。膨大な数の落とし物を効率的に管理し、持ち主に返還する――。

そんな社会課題に取り組む、株式会社find(ファインド)。同社が運営する「落とし物クラウドfind」は、公共交通機関や公共施設での拾得物管理を革新的に変える可能性を秘めています。

findは2021年創業のスタートアップでありながら、京王電鉄やJR九州といった大手公共交通機関をすでに顧客に持っています。その急成長を陰ながら支えていたのは、高山印刷株式会社のバリアブル印刷技術でした。

事業者と落とし主の双方にメリット
――落とし物クラウドfindのサービス概要を教えてください。

落とし物クラウドfindは、B to B向けの落とし物管理サービスです。鉄道やバス会社、商業施設など落とし物を多く管理する企業様には、日々たくさんの落とし物が届きます。落とし物の登録や検索、受け渡しには膨大な管理の手間や時間が必要で、findのサービスはそうした課題を解決しています。

落とし主から見ても、落とし物クラウドfindには大きなメリットがあります。問い合わせにLINEを活用しているので、電話と違って24時間いつでもどこでも気軽に問い合わせできるからです。いつでも問い合わせできる環境を整えることは、落とし主の不安を軽減する効果もあります。テキストでのやりとりが残るので、落とし主と落とし物を管理する企業様の双方が、後で問い合わせの内容を確認できるのも利点のひとつとなっています。

また、画像認識AIの活用でマフラーや手袋、カギ、ピアスなど特徴のない落とし物も見つかりやすくなりました。サービス導入後、落とし物の返却率が3倍になった例もあります。

落とし物クラウドfindは落とし主と、落とし物を管理する企業様の双方にメリットがあるプロダクトなのです。

1日500件を手書きからデジタル管理へ
――落とし物クラウドfindの導入前は、どのような課題があったのでしょうか?

導入前、落とし物は多くの企業様で手書きで管理されていました。例えば、鉄道会社では1日に500件以上の落とし物が集まることもあるのですが、それらを一つ一つ手書きで台帳に記入し、保管場所に取り置いていたのです。人の手による管理は非常に時間がかかりますし、取り違いなどの人的ミスも発生しやすい状況でした。

また、落とし主からの問い合わせがあっても、その場で迅速に対応することが難しく、お客様を長時間お待たせしていました。

――それらの課題に対して、どのようなソリューションを提供したのでしょうか?

落とし物クラウドfindは、落とし物一つ一つにIDを割り当てQRコードで管理するのが特徴です。ここで高山印刷のバリアブル印刷技術が非常に重要な役割を果たしています。

バリアブル印刷でfindが指定したデータを元にそれぞれ異なるQRコードを印刷したタグ(以下、f-tag)を作ります。f-tagを付けることで、スマートフォンやタブレットで撮影した落とし物を簡単にデジタル管理できるようになりました。

――落とし物をデジタル管理することで、どのような効果が見られましたか?

導入企業様からは作業時間の大幅な削減や、人的ミスの減少といった効果が報告されています。ある鉄道会社では、窓口や電話での問い合わせ対応時間が1件あたり8分から2分に短縮されました。

デジタル管理によって検索が容易になっただけでなく、会社や施設の垣根を越えた横断的な検索もできるようになったため、落とし物のマッチング率が4倍になった企業様もあります。落とし物が見つかりやすい環境ができたことでスタッフの業務効率が上がり、お客様満足度の向上にもつながっています。

高山印刷との協業がもたらした業務効率化

――高山印刷との協業によって、運用面ではどのような変化がありましたか?

落とし物クラウドfindはクラウドサービスですが、データと落とし物とを紐づける物理的タグが別途必要です。以前は、findの導入企業様からf-tagの追加発注を受けると、その都度findの社員が仕事の合間に印刷会社にタグの印刷を発注していました。しかし、高山印刷との協業によりfindの社員が担っていた作業も引き受けてくれるようになりました。

具体的には、顧客から追加発注があると高山印刷がすぐ増刷の作業に入り、発送作業まで請け負ってくれるようになったのです。印刷に加えて、別の印刷物と併せた封入作業もお願いしています。その結果、findでは追加受注から発送までの社内工数がかなり削減できました。

――ところで当初はf-tagはシールを使っていたそうですね。印刷タグに切り替えた経緯を教えていただけますか?

当初、f-tagは落とし物に直接貼り付けられる方が管理の手間が少なくて良いだろうと考え、別の印刷会社に印字タイプのシールを作ってもらっていました。しかし、実際に運用してみると、予想外の課題が浮上しました。

多くの企業様から、落とし物に直接シールを貼ることへの抵抗の声が上がったのです。「お客様の大切なものにシールを貼ると跡が残るのではないか」「シールが剥がれたらどうしよう」といった懸念が多く聞かれました。

こうした声を受けて、findは方針を転換しました。紙タイプの印刷タグを作り、それを針金や輪ゴムでくくりつける方式に変更したのです。この方法なら、落とし物本体を傷つける心配がありません。

印刷タグへの変更に伴い紙への印刷技術に強い会社を探していたところ、高山印刷にたどり着いたという経緯です。

――高山印刷のサービスを選んだ理由は?

シンプルでフレキシブル、そしてスピード感があったからですね。特にスタートアップであるfindにとってスピード感はとても重要です。

「人」「モノ」「カネ」の3つの経営資源のうち、スタートアップは圧倒的に前者2つが大手に負けるので、スピードがないと勝てません。高山印刷はやりとりのレスポンスが早く、「これもできますよ」という前向きな対応をいただいたことが決め手になりました。

結果的に印刷タグへの変更は好評で、サービスの信頼性向上にもつながったと考えています。

findが描く協業の未来

――高山印刷のバリアブル印刷、f-tagの満足度はいかがですか?

100点満点中100点です。あえて言えば、納期の短縮ができればさらにいいですね。現在は納期2週間でお送りいただいているのですが、企業様によっては3日で欲しいとか1週間で欲しいといった要望があります。そこまでできたら、より一層価値が上がると思います。

――今後の展望についてはいかがでしょうか?

現行の f-tag は、findが求める機能は満たしています。ただ、落とし物が起こるシーンは企業様ごとに違うもの。それぞれに合った提案ができれば、もっと便利な f-tag を目指していけると思います。

ですから、今後は鉄道会社などの企業様に対して、高山印刷とfindが一緒に価値を提供するという構造になってくると、より良いサービスを作れると考えています。

例えば、より耐久性の高い印刷素材や、QRコードの新機能など、どんどんご提案いただけると嬉しいです。印刷物領域のプロである高山印刷には、findのパートナーとして、共に提案を作っていけるとありがたいですね。

お客様紹介

株式会社 find
落とし物にまつわる課題を解決するデータプラットフォーム「find」を2021年に共同創業。「落とし物が必ず見つかる世界」の実現を目指しています。

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