コロナ禍の 2020年に、初仕事をご依頼頂いた株式会社フィノバレー川田様と弊社代表の住が zoom 上で対談。
デジタル通貨プラットフォームを提供するIT企業であるフィノバレー様が、当社のバリアブルQRコード印刷を必要とされた背景についてお話します。
デジタル地域通貨のプラットフォーマーとして
川田さん: 株式会社フィノバレーはデジタル地域通貨プラットフォームを運営しています。飛騨地域では「さるぼぼコイン」を開発し、沢山の方々に使って頂いております。その関係で、飛騨高山にもよく行きますので、非常に親近感がわきます!今は世田谷のシェアオフィスからzoom繋げてます。
住: 「さるぼぼコイン」は僕もよく使ってます!
川田さん: ありがとうございます。
スマートフォンアプリとQRコードを活用し地域内での「お金の流れに変化を起こし、資金循環を促すこと」を目指しています。
新型コロナによって飛騨高山も、世田谷も大きな影響を受けたと思います。そのなかでお金の流れを生み出し地域経済をよくしていく。そのために日々、活動しています。
住: 「さるぼぼコイン」のプラットフォームを担っているようなすごい会社さんから高山印刷に仕事をご依頼いただき、光栄です。今日は色々教えて下さい。
東京都世田谷区でのチャレンジ
川田さん: さるぼぼコインも同じですが、私達は地域の共助を担うような仕組みになっていきたいと考えてます。
自分たちの地域を、自分たちでよくしていく、そのお手伝いをしたいという意味です。さるぼぼコイン等での地域活性化の事例を知った方から話がひろがり、世田谷区でも、「デジタル地域通貨」のプロジェクトが始まりました。
今までは飛騨高山など“いわゆる地方”の案件が多かったのですが、東京都内で区民が約100万人いるという事で、私達にとっても非常にチャレンジの多いプロジェクトです。
住: すごいですね。世田谷のコロナの影響はいかがですか?
川田さん: コロナの影響で世田谷区でもお店の休業があいつぎ、閉店に追い込まれてしまう事業者も出てきました。
中小・個店と中心とした地元の飲食店や小売を元気にするために、世田谷区としても取り組みを活動してきており、今回の「せたがやPay」も、地元中小・個店、そしてコロナの影響を大きく受けている飲食店の応援の意味合いも強いです。
住: すごいですね。順風満帆に聞こえます。
川田さん: いや、簡単ではないことだらけです(笑)。特に、現場と直接向き合っていると、東京と言えど、ITが苦手な人もたくさんいらっしゃるということに、当たり前のことですが、直面します。
世田谷区でも、ITが得意な人だけ使いこなせる決済サービスでは、意味がありません。老若男女、世田谷区に住む人々、企業、すべてが幸福になるための仕組みでなければなりません。
住: 高山市も同じです。一部の人だけの仕組みでは意味がありませんから。
川田さん: そのためにはのITの得意不得意に関わらず、この「せたがやPay」を利用できるようにならなければならない。そういった高い課題にぶつかりました。でも、あきらめるわけにはいけません。地域の循環を考えるプロジェクトなのでなんとか、区民全員でゴールインできないかと知恵をしぼりました。
全年齢、デジタルが苦手な方にも使ってもらいたい
住: その中で、当社の「バリアブルQRコード印刷」にたどり着かれたわけですね。
川田さん: そうです。どうしたらデジタルに苦手な方にも認知していただけるか、課題を解決できるかと。過去に地域での紙媒体のQRコードを読み込み、アプリへうまく誘導できている事例がありました。
やはり、全年齢を考えると、出発点はデジタルではなく、アナログ、つまり「紙」をうまく使うことが大切だと考えました。
住: デジタルを普及するために、アナログである紙と組み合わせるというのはとてもおもしろい視点です。
川田さん: そこでインターネットでそういったことができる人はいないかと調べました。
「バリアブル印刷」という技術があるのは知っていましたが、大手印刷業者だととても割高で、何処にお願いするのがいいかは良くわかっていませんでした。その中で、高山印刷さんのサイトを見つけました。
高山印刷さんのサイトでは、WEBサイトに技術情報がしっかり載っており、とても信頼できると考えました。加えて、「さるぼぼコイン」で親しみのある飛騨高山企業であるということからお願いすることに決めました。
せたがや Pay を広げる仕組みづくり
住: 嬉しい言葉ですね。プロジェクトを一緒に進めてみていかがでしたか?
川田さん: コロナの状況でしたから、スピーディに実現する必要がありました。高山印刷さんに依頼してよかったのが、バリアブル印刷に関する知見、ノウハウが沢山あったことです。
今回、「せたがやペイ」では、何より興味を持ってもらい、一度「使ってもらう」ことが必要でした。そこで、高山印刷さんに、クーポン券1枚1枚にバラバラなQRコードを印刷してもらい、配布しました。
せたがやペイをインストールした区民がQRコードを読みこむと、自動で還元率がUPする面白い仕組になっており、とてもお得に飲食やお買い物ができます。
クーポンは140万枚を世田谷区内の飲食店約3,000店に配布しています。せたがやペイアプリでは、飲食店応援キャンペーンとして20%ものポイント還元が受けられる予定(2021/02)ですが、このクーポンを読み取ることで、さらにポイント還元率がアップし、最大30%のポイント還元になる仕組みです。このクーポンは店舗と顧客を効率よくつなぐための重要な任務を担っています。
一度ポイントを取得した方が、不正に二重ポイント還元を受けないようにするため、一つ一つ違う情報を読み込んで貰う必要があり、ここで高山印刷さんの「ばらばらQR」が活躍しました。クーポンには、ばらばらQRコードを印刷することでアプリの個別情報とリンクして、ポイントが加算され、一度使ったクーポンが無効化されるため、不正を防げます。
140万通りのばらばらQRコードを重複させることなく、過不足なく配布することが重要でした。事前の検証・刷り上がりの検証を十分に行うことも大切です。これらの細かい要望に答えてもらえて助かりました。限られた納期の中でミスが発生せずに無事実行でき、高山印刷さんにはとても感謝しています。
また、電話やWEB会議で、ほぼリモートで進められたこと、途中での仕様変更にも対応してもらえ、クオリティを高く仕上げてくれたことも非常に嬉しかったです。
納品時の段ボールの個数や大きさ、重さなどを事前に細かく教えてもらえたため、今回重量が約1tあり驚きました(笑)が、スムーズに納入できました。お気遣いに助かりました。
また、ビジネスパートナーである以上に、地元の「さるぼぼコイン」をご利用いただいている中で、デジタル地域通貨のことをよくご存知で、何より僕らの地域内での循環を増やしたいという思いに共感していただけている事がうれしかったです。
これから目指す未来
住: 「さるぼぼコイン」、「せたがやペイ」もこれから非常に社会によい影響を与えていきそうです。これから目指す世界はどういったものですか?
川田さん: 今回の「せたがやペイ」は短期的にはコロナで影響を受けている中小・個店や飲食店を応援することが、まず第一です。その次に、商品券や行政の発行・給付している各種クーポン券などの紙媒体の管理コストを減らす事をめざしています。
ただ、それら短期の目標の先には、「共助を促進する仕組み」を実現したい。飛騨高山、世田谷が、地域内で助け合い、地域がよくなるまで、じっくり、しっかりサポートしていきたいと思っています。
会社全体のビジネスとしては、展開地域を一気に拡大したいという想いはあります。しかし、まずは一つ一つの成功度を上げていくことも、とても大事だと思っています。多くの人に利用してもらい、地域の中の繋がりをつくり、地域での共助が希薄になってきている現代を補う地域の重要なインフラになれるように。僕らはこれからも、チャレンジしていきたいです。
そして、それらの仕事を通じて、子供や孫の世代へ、今の豊かな国が引き継がれるようにしていきたいです。
住: 素晴らしいビジョンです。僕たち高山印刷も、この飛騨高山が長く繁栄するため、その可能性を開いていきたいと思っています。
川田さん: 高山印刷さんには、印刷業界の中で様々な事に飛騨からチャレンジしていって欲しいです。紙や印刷といったものは時代が変わっても、まだまだ我々のように必要としている企業が沢山いますので、ぜひアイデアをどんどん実現してほしいですね。
住: お話しありがとうございました。弊社も飛騨地域がより良くなることを目指していますので、大変共感致しました。今後ともよろしくお願い致します。